生きているだけで幸せ
2005-09-04


生きているだけで幸せ

 こんな人に出会った。公園をゆっくり、ゆっくり、歩いている人がいた。相当高齢のように見えた。よく見ると、片腕がない。一人であった。
 「ひきこもり」もしないで、積極的に外出されているようで「すごいなあ」という気持ちになった。うつ病のカウンセリングをやっているので、高齢の方は、老齢に伴う種々の悩み→ひきこもり→うつ→自殺のパターンもあることを知っている。どうしたら、このように、できるのか教えてもらおうと思って、お話を聞いた。
 最近、脳梗塞になって、2カ月入院、リハビリを行って、退院したばかりとのこと。腕はもっと前に、事故で失った。年齢は、80代後半、もう90近い。耳が不自由で、ぽつり、ぽつりと語ってくださったのは、次ぎのことであった。
 「なるようにしかならん」
 「今、生きているだけで幸せと思っている。」
 「家族がよくしてくれる。感謝している。」
 「散歩は医者がした方がいいといったからしている」

 大体、こんな感じだった。短い会話しかしていないが、今度会えたらもっと、たずねてみたい。

 人生には種々の厳しい出来事がある。がん、糖尿病、脳疾患、身体に障害が残る事故など、病気に伴う「うつ病」も報告されている。これも、「長引く病気、重い障害とうつ病」のテーマで書いてみる。この人は、腕を失う、脳梗塞で不自由になるという2つの出来事を、「うつ」にならずに乗り越えていっている。自分がそうできるかしらん、と疑問に思う。
 常日頃、仏教カウンセリング(坐禅に似た腹式呼吸法を加えた認知行動療法が教える実践的生き方)のような実践をしていると、乗り越えられるはずだと盛んに言ってまわっている。 私がそうできるかはわからないが・・・・。これまでは何とかやってきたから、あの人にも学びながら、やっていきたい。
[生きる達人]

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