NHK総合テレビで、「急増するニート・親の苦悩」(クローズアップ現代)があった。(11月7日)
ニートから脱出する親たちの試みが紹介された。キャリア・カウンセリングからの支援であった。ニートの子どもも働きたいのだが、働けないのだ、親が責めるだけだは解決しない、ということであった。親が、子どもと会話して問題に気付いて、問題解決に向けて適切な対応をしていくのがよい、という。責めるだけではなくて、日常身見近なできることをさがしてやって、少しづつ自信をつけられるようにしていく方向が教えられた。身近かなところでの行動をするということの中で解決の糸口をさがそうとする「行動療法」的な手法に見えた。
こういうニートの支援活動の中では、やはり、心の病気やストレスによる心身症という視点もあれば、解決がもっと早いだろうと思う。
ニートは、病気によるものだけではないのだが、それでも、心の病気、心身症によるものがある。そういうケースでは、それを治療しない限り、いくら、責められても、会話しても、働けない。
テレビで紹介された次のケースは、病気であるようだ。同様の状況があれば、親が子どもの問題を把握することが重要だが、病気の場合、働きかけは親よりも、専門家による病気の治療をするべきだと思う。親の介入の限度を考慮しないと、かえって長引かせて、悪い状況においこむ。病気ならば、病気を治すことは、専門家の支援を得るのが賢い。
- 母親が泣きながら、子どもの状況を語っていた。「5年の間に自律神経の病気になりまして。「俺が一番苦しいんだ」とか「こんな子どもに生んで」とか責められても何をしてやることもできないし」
こう語っておられたが、この子どもの場合、うつ病になっているようだ。自律神経の症状があり、自己否定があり、外に出ていく意欲がないのだから、うつ病であることが推測される。こういうケースの場合、キャリア・カウンセリング以前に、うつ病を治療しないといけない。家庭では、うつ病を治すノウハウはまずないので、うつ病の専門のカウンセリングを受けるのがニートからの脱出の早道であろう。こういう事例がある場合、病気のカウンセリングを受けるように言うべきだ。
- 30代前半の男性がニートのケース。6年前大学を中退、就職試験を続けて失敗。それ以来、働こうとしない。親は3年前に、定年退職、子どものニートにあせり、責めるが働かない。精神科医に相談したが改善しない。子どもは、外に出かけるが、親は会話ができず、何をしているかわからない、という。
うつ病の中には、軽いうつ状況が何年も持続するものもある。それかもしれない。そうすると、意欲がわかない。就職できないという心理ストレスが持続する場合、薬物療法だけでは、治りにくいので、心理カウンセリングでないと治りにくいだろう。
- 実名で出てきた、桐生の小池たかしさん(30歳)さんのケ−スも、軽い「うつ病」のようだが、その視点からではなくて、親が子どもの「心の傷」(こういう言葉が出るので、心の病気らしいとは自覚があった)に気がついて、やさしく接していくことで、ニートから抜けていく可能性をみつけることが紹介された。薬物療法で、うつ病をよく治せない現状では、家庭がとりくむしかなかったのだろう。だが、心理療法もある。
小池さんの場合、2回の就職体験があったが、1回目は残業が多くて、体調を崩した。2つ目は、きびしいノルマがあって、毎日のように、叱責されて、「自分はダメ人間だと思った、という。再び、体をこわし、退社。2度の挫折が「心の傷」となって、働けなくなった。実家に戻り、1年働かない。
小池さんの場合、父親が、幼いころから、きびしくしつけてきたので、苦しい胸のうちを親に相談できなかったようだ。ニートになって、半年、 父がそれに気がついて、「外で就職しろ」ということをやめて、自分の仕事(縫製の仕事、そと回りなど)を手伝ってもらった。そのうちに、たかしさんは、自信がついてきて、就職活動をするようになった。